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令和4年第1回沖縄県議会(定例会)

2022年3月2日

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 てぃーだ平和の比嘉京子です。
 一般質問を始めます。
 まず1番目に、児童相談所の役割についてお伺いしたいと思います。
 乳児院にいる生後2か月の子を児相から懇願されて、お願いされて5歳になるまで養育してきた里親から、里親委託を解除し、令和4年1月4日、コザ児童相談所が一時保護をしました。私はこの問題について、昨年から注視をしてまいりました。今回の本件の児相による一時保護が、子供の最善の利益に照らして妥当であったかどうかを検証するため、以下質問をいたします。
 ア、里親委託解除の理由と一時保護の緊急性とその根拠について伺います。


 親権者から解除をお願いされたからといって、すぐに解除になるとは限りませんよね。親権者に説明をして、継続をすることも可能であっただろうということは、識者が述べておりました。それと同時にその里親委託解除の理由として、私はこれは十分ではないと思っているわけですけれども、解除基準のマニュアルに照らし合わせますと、今回の解除がどの基準に適合したのか伺いたいと思います。


 この期間は最小限にすべきであるということを厚労省は言っているわけですけれども、もうすぐ2か月になろうとしています。こんなに長くなっている理由は何でしょうか。


 子供はこども園にも行けず、誰にも会えない状況で今、拘束されている状況になっているわけです。話を戻しますと、里親解除の理由としては、親権者が解除を言ったからだけではいかないと、これは識者が言っていることですけれども、私は里親の解除基準のマニュアルを見ると、里親と里子との適合ができなかった場合、それから里子が里親宅を拒否しているような、そういう状況の場合ということが重ならないと一時保護には至らないと理解しているんですが、いかがですか。


 行動観察は子供にとって必要かもしれませんが、今挙げた3つの条件は、大人の論理だと思います。指摘をしておきたいと思います。
 一時保護の目的を先ほど部長から述べていただきましたけれども、ほとんどの場合が虐待による安全性の確保ですよね。虐待による安全性の確保でやるわけですけれども、では次に質問いたします。
 一時保護を強行的に行う場合、ガイドラインには常に子供の意見を尊重することが求められると書いてありますけれども、今回どのような対応をなさったんでしょうか。


 子供にとってこの状況はどう受け止められているかというところが非常に問題だというふうに思います。
 一時保護の緊急性についてですけれども、なぜ1月4日という設定になったんでしょうか。


 先ほど虐待等における強行的な一時保護というお話がありましたけれども、この里子に関して言えば、平穏な家庭から、暮らしているところから5歳児を連れていくわけですけれども、5歳児なりの理解の仕方というのがあると思うんですね。それを児相はずっと強調してきたわけです。5歳なりの受け止め方があるんでしょうということを真実告知でずっと強調してきたわけなんですけれども、このときそのことを裏返していうならば、5歳児にどういうような説明をしたんでしょうか。


 あの状況を見ると、引き裂いていたように見られています。説明を受けた子供が静々と従っていたようには見えておりません。児相は一時保護をした後に、この子の心療内科の診断書の提出を求めたり、この子の食物アレルギー等について問い合わせたりしておりますけれども、これは物事の進め方として逆ではないかと私は思っております。一時保護する前にこういうような話合いがあり、そして子供の状況、育ってきた背景を知った上で保護するならする。そういうことをせずに一時保護を急ぎやったというふうに見られていますし、見ています、私も。これは子供への配慮、それから丁寧な対応ということからすると非常に欠けていると私は厳しく指摘をしたいと思っているんですけれども、部長の所見を伺います。


 私はこの一件だけ見ても、ガイドラインに逆行しているというふうに言わざるを得ません。
 次に、一時保護をする前に里子のリスクをどのようにアセスメントしたのか、客観的な判断をしたのか、またこの一時保護によるリスク、子供に対するリスクを児相は何をもって判断したのか、その認識を伺います。


 ちょっとよく見えないんですが、この里子を一時保護することによって、どのようなリスクが生ずると考えたのか、児相の判断根拠について伺います。


 里親がこども園の指摘であるとか、家庭内での様子から子供心療内科を受診し、月2回のペースで療育を受けています。それからこども園においても療育の支援を受けています。さらにセカンドオピニオンやサードオピニオンの診察を受け入れ、いずれも自閉症スペクトラム、それからアタッチメント形成不全、お一方によってはADHDというような疑いを示されています。このような障害を抱えた5歳児を一時保護した場合のリスクをどういうふうに想定されたんでしょうか。


 じゃ聞き直したいと思います。
 自閉症スペクトラムという子供について、こういう子供の特徴はどういう特徴ですか。


 対人に対してはどうですか。


 ではアタッチメント形成不全の子供をこのように分離をするということで、どのような後遺症状につながるとお考えですか。


 次に行きたいと思います。
 厚労省は、社会的養育を必要とする子供たちに、施設で長く養育することから里親の家庭に委託することに力を入れています。その狙いは何でしょうか。


 ちょっとすみません。


 なぜ愛着関係にここまでこだわっているのかというと、先ほど一時保護の中には心理司さんもいます、誰もいますとおっしゃるので、これは愛着形成にはならないし、安心・安全にもならないんです。人がいるからいいのではなくて、なぜ1対1なのかというところが愛着の形成なんです。この子供は出産後すぐに分離をされていて、乳児院に2か月いたわけです。このハンディもしょっているわけです。そのために、現在5歳になっても里親と手をつないでくっついてしか寝られない、そういう子供ということを想定してリスクを考えないといけないんじゃないですかと、先ほどからそれを聞いているんですよ。乳幼児期は1対1が大事だから里親制度を一生懸命に取り組んでいるし、沖縄県も頭を下げてお願いしているんですよ。愛着関係が取れないとどうなるか、将来的に肯定感につながらないんです、自己肯定感に。たくさんの子供を乳児院で見ていて世話をしているけれども、1対1ではないから育ちが悪いんです。それを分かっているから、こういうことを細かく書いているわけです。
 次に行きます。
 特定の大人との愛着関係の下で養育されることを非常に重要視しているわけです。そのことが子供の成長発達に不可欠であるということを厚労省は言っているわけなんです。そのことが自己肯定感につながるし、そのことがなければ将来的にこういう特性のある子供というのは自傷行為に至ったりすると言われているわけです。そういうリスクを持っているということを想定した上で預かりましたかということを聞いているわけです。
 次に行きます。
 子供の最善の利益という言葉が1ページに何か所も出てきます。子供の最善の利益を守るとか、子供の最善の利益を図るとか、このガイドラインには本当にたくさん出てきます。具体的に最善の利益というのは部長、どのようにお考えでしょうか。


 次に行きたいと思います。
 一時保護の前になぜ、児童福祉審議会の意見を求めなかったんでしょうか。


 先ほど私は子供の最善の利益という話をしたんですが、今は大人の論理じゃないですか。子供の最善の利益を図るために、様々なことをやるのが児相なんです。法律に書かれていても、実母がどう言おうとも、一般論的には――私は実母のことはよく分かりませんが、一般論的には、どれだけ強要されても、最善の利益につながらないと思ったら体を張って、最後のとりでとして児相が守るんです。これが児相の役割ではないですか。今の役割は、言っているのは大人の論理を押しつけているとしか思えません。
 さて、質問に移ります。
 昨年の――ここはなぜ諮らなかったのかというと、年末年始で開催のいとまがなかったというふうに、皆さんおっしゃったんでしょうか。これはもう識者から、措置解除前に審査会を開かなかった理由にはならないと。子供の一生がかかっている可能性もあり、大人の事情でその子の人生を変えてはならないと、審議会で意見を聞くべきだったと断じています。これは、1月の問題です。
 さて、12月中旬に私は部長とこの案件について、意見交換しました。そのときに部長はこの案件は対立案件ではないので、審議会にかける案件ではないと言われました。一時保護後になぜ開かれることになったのか、その理由について伺います。


 子供を中心に考えると、審議会を開くべきか開かないでいいのかという判断が一時保護の前にされるわけです。それを後々、大人の理屈で開かなければいけなくなるということ、こういうこと自体もおかしくないですか。


 堂々巡りのようですね。
 では、里親が真実告知をしなかったことは、大変な問題になっておりますけれど、里親に真実告知の義務はあるんでしょうか。


 里親に真実告知の義務はありません。そして、いつから言うというその確約もありません。子供の発達はみんな違います。そういうような真実告知の義務がないということを確認するわけですけれども、なぜ里親が真実告知ができなかったのかということについては、どのように理解されているんですか。


 では、さきのこの里子の心療内科の主治医が児相に提出した意見書について伺います。
 この子の状態、そしてリスクについて部長の認識を伺います。


 ちょっと休憩。


 この主治医の意見書には、本児の情緒的な安定が図られる時期まで本児を精神的な危機にさらすことなく、精神的にも物理的にも安定、安心感を維持できる環境、現在の生活環境を保持しながら、本児の特性の緩和に通院及び療育を定期的に実施することが必須ですと、今告知をすべきではないという第三者の意見に対応して告知をしなかったという事実があります。義務はありませんが、そういう事実があります。そういう指摘を受けて、親とすれば、専門家からすると子供の最善の利益を図らなければならないという基本はそこにあるということを申し上げておきます。
 次、聞きます。
 里親と児相が協力して子供にとっての告知時期等を決めていくということが一番大事なわけですけれども――これはカットしておきたいと思います。
 次、オに行きたいと思います。
 児童相談所は強権的とも取れる一時保護までの間、里親にどのような支援・指導をしてきたのでしょうか。


 すみません、今の答弁は……


 この里親にどのような――じゃ、何回里親宅に行って子供の様子を聞いたり、記録をしているんですか。実態を。


 今、部長が――ガイドラインの里親への定期的な家庭訪問、その意義については、その必ずしも児相の担当者、里親担当者が行くのではなくて、里親委託調整員であるとか専門員であるとか、いろんな人と連携をして情報共有するということが大事になっているわけです。このことは置いておきますけれども、今部長がおっしゃった委託直後の2か月間は、2週に1度などというガイドラインの規定がありますけれども、これでカウントすると最低でも5歳8か月までに22回訪問ということになりそうです、私がカウントすると。1回ないし2回というところは1回にしましたから。そうすると、5歳8か月まで約22回。でも、2回しか来ていないんです。この2回で何が分かるかというと、この家庭だけではないんです。私、ほかの里親さんたちからいろんな意見をもらっているんですが、ほとんどいらしていません。同じです。見えていません。その見えないことがどこにつながっているんだろうというふうに思うんです。そうするとどういうことかというと、やっぱり養育の状況、家庭における子供の姿、そしてどういうところがこんなになっているのか、こういうことがつぶさに全然伝わっていない可能性がある。その上に立って、一時保護をした可能性があると私は思っているわけです。
 さて、次に移りたいと思います。
 カの、12月20日に里親に署名を求めた確認書について伺います。
 児相が作成し、里親に署名捺印を求めた10項目の確認書があります。その確認書の中には4項目めに里親は児相が指定した日に里子を引き渡すことを確約する。5項目めに、期限どおり里子を引き渡さない場合、養育里親が里子を預かり続ける行為そのものが誘拐罪になり得ることを確認すると、こういうことを行政が書く文書でしょうか。大丈夫でしょうか。部長の見解を伺います。


 幾ら案とはいえども、このような文書を行政が出すとは驚きです。しかも、これはこのような内容だけではありません。署名捺印を求めて、児相の担当者が里親宅にその日付の明ける、いわゆる変わる、24時近くまで里親宅に迫っていくという行政の行為、私はもう本当に異常だと思いました。こういうようなことは里親との信頼関係ではなく、愛情を持って里子を育ててきた養育里親への対応として、私は児相自らが信頼関係を壊すような行為ではないかと思うんですが、部長の見解を伺います。


 先ほど案の文書だとおっしゃいましたけれども、案の文書の署名をこういう時間帯まで求めたということですよ。
 次に行きたいと思います。
 次に、児童の虐待死亡事例集からまず公表されておりますけれども、検証した社会福祉審議会の提言として共通して指摘されていることはなんでしょうか。


 その中に、平成31年1月の千葉県野田市で起きた10歳の児童の死亡事案ですけれども、その教訓はどう考えられているんでしょうか。


 私はそれにリスクアセスメントの弱さだということを指摘したいと思います。読んでいますと、強硬に出てくる加害者の実父に対して、本当にこれでよかったのかというような対応をしています。ですから、渡した後のリスクをどう考えたのかというところが非常に疑問が残っています。
 最後になりますけれども、児童相談所への第三者評価の導入について認識を伺います。


 ぜひ知事にお願いしたいんですけれども、この児相のなかなか見えにくい内容、中です。これは児童相談所にとっても第三者評価を入れることは有効だと思います。人員体制が的確なのかどうかということになると、児相だけで解決できる問題ではありません。そういうこともあって、行政が一緒になって、第三者評価を入れる、そのことによってできていること、できていないこと、何が問題なのかということを第三者から指摘をしてもらう。このことをぜひとも取り入れてほしいと思うんですが、いかがでしょうか知事。


 最後になりましたけれども、今回の児相の事案については、沖縄県が今後取るべき対応として、これまで私、挙げてきましたけれども、措置解除も含めて里親解除も含めて、何といっても子供にとっての最善の利益がどこにあるか、なかなか見えなくなっています。そういうような状況でありますので、子供にとってこの2か月間は本当に心身にとって大きな影響、ダメージを与えたことは予想できます。そのことを考えますと、これからでも子供が安心できる里親の元に再委託をして、専門医の療育を受けながら症状の回復を図ることを願うものです。ぜひとも沖縄県の取るべき方針としてそのことを強く申し入れて終わります。
 ありがとうございました。